インターネットでモノを販売した後の動きを作れる「ファネル機能」は、物販だけではなくデータ商品やセミナーなど無形商品のマーケティングのシーンにおいても注目されている機能です。
ワードプレス内で構築するのではなく、別途契約して使う「クリックファネル」などが有名ですが、ワードプレスのECショッププラグイン「WooCommerce」と連動する形でファネルが作れるプラグインもあります。
WooCommerceと紐づけることでカスタマイズが可能になる「WooCommerce Checkout & Funnel Builder by CartFlows」と「Funnel Builder for WordPress by FunnelKit」の機能を比較してみます。
- ファネルを使う理由
- ファネル構築によく出てくる用語:オーダーバンプとは?
- ファネル構築によく出てくる用語:アップセルとは?
- ファネル構築によく出てくる用語:ダウンセルとは?
- WooCommerce Checkout & Funnel Builder by CartFlows
- Funnel Builder for WordPress by FunnelKit
- WooCommerce Checkout & Funnel Builder by CartFlowsとFunnel Builder for WordPress by FunnelKitの比較表
- 有名なのは「WooCommerce Checkout & Funnel Builder by CartFlows」。しかしファネルに特化しているのは、「Funnel Builder for WordPress by FunnelKit」?
ファネルを使う理由
通常のWooCommerceでも、チェックアウト画面の後、サンキューページが表示され、それらもカスタマイズが可能です。
しかし、強化商品や広告に出稿している商品、ダウンロード販売や会員ビジネスなどの販売を考えたときに、通常の「カゴに入れる」⇒決済というネットショップの動作では物足りない場合があります。
例えば、Aという商品ではサンキューページにこういう画面を出したい、とか、Bという商品は独立したLPを使い、基本1商品で決済させたい、とか、細かくカスタマイズが必要になります。
それを、大枠のWooCommerceのカスタマイズだけで行っていくと、少しのカスタマイズでも全部の商品に影響が出ることもあり、動作確認の面でも無駄な労力がかかってしまう場合があります。
しかし、ファネル構築プラグインを利用することで、「カスタマイズしたい商品だけ特別な販売導線を作る」ことが可能になるため、通常のECカートとは異なった仕様でWooCommerceを活用することができるようになります。
ファネル構築によく出てくる用語:オーダーバンプとは?
オーダーバンプとは
オーダーバンプとは、決済が完了するまえに別の商品を追加注文できる機能です。ついで買い機能、とでもいいましょうか。ファーストフードで「一緒にポテトはいかがですか?」とおすすめされるのと同じことです。ついで買いを促す機能なので、本命の商品よりも価格は安く設定されることが多く(本体商品の1割~2割程度)、オンライン決済であれば「決済ボタン」を押す直前に見せるのが一般的。
購入者にとってはチェックボタンにチェックを入れるだけで追加購入ができますし、販売者にとっては1回の決済金額を上げることができます。
ファネル構築によく出てくる用語:アップセルとは?
アップセルとは
アップセルとは顧客が購入している商品やサービスを、より上位の商品やプランに変更してもらうことです。販売者にとっては顧客単価を上げることができます。オーダーバンプが「ついで買い」、つまり複数個の購入に対して、アップセルは個数は変わらず販売価格がより高い商品を促すこと、になります。
同じ商品群であっても、どの組み合わせでどのように見せるか、だけの違いですが、こちらはノーマル版・プロ版もあって「プロ版の方がお得ですよ」という風に促す、ことを示します。
ファネル構築によく出てくる用語:ダウンセルとは?
ダウンセルとは
一方、ダウンセルとは、現在お客さんに提供提案している商品やサービスよりも、より機能や品質が劣る安価なものを進める手法です。例えば、オンラインであれば、お客さんが決済画面から離れようとして「ちょっと待った!ではこちらの商品はいかがでしょうか?」と引き留めるようなイメージです。
WooCommerce Checkout & Funnel Builder by CartFlows
「CartFlows」がリリースしているプラグイン。WooCommerceでのチェックアウト時のコンバージョンを上げられる仕組みを構築。ClickFunnelno代替品という位置づけです。
有名なワードプレステーマのアストラなどでも紹介されているプラグインです。
以下に簡単に特徴の一部を上げます。
- フォームをスキップした素早いチェックアウト
- 1列または2列のレイアウト
- リアルタイムのメール認証:顧客がメールアドレスを入力し始めるとアカウントが存在するかどうかを確認。
- 注文ボタンのテキストカスタマイズ
- カスタムのサンキューページ
- ファネルは無制限
- プロ版($99~/年間)でアップセルやチェックアウトページにワンクリック注文バンプオファー、ABテストが可能
WooCommerce Checkout & Funnel Builder by CartFlowsのインストール
ワードプレスのプラグイン追加画面で「WooCommerce Checkout & Funnel Builder by CartFlows」と検索すると出てきます。
アイコンは、下記のようにオレンジ色に走っているカートのようなアイコン。
インストールされるとプラグイン一覧画面には「CartFlows」とだけ表示されるので注意です。
設定メニューはダッシュボードのメニューに現れます。「CartFlows」メニューです。
WooCommerce Checkout & Funnel Builder by CartFlowsの管理画面(ダッシュボード)
ダッシュボードはこのようなデザインです。
オレンジを基調とした画面です。日本語に対応と記載されていましたが、所々英語ですね。
ファネルの作成
ダッシュボード以外のメニューが「Funnel」と「Store Checkout」なので特に迷うことはありません。
まずはFunnelを作ってみます。
画面上の「+Create Funnel」ボタンを押します。
すると、ある程度セット化されたテンプレートがいくつか表示されます。
ここから選べばある程度仕上がったファネルが作れます。
※キャプチャ画面は日本語翻訳しています。
ここで自分の売りたい商品に近いジャンルを選択すればいいでしょう。
ファネルのセットは、無料版、プロ版ともに15個 計30個 用意されていました。
プロ版はプラス15ジャンル(サプリメント・コンサルタント・化粧品・お茶・電化製品・プロテイン・ソフトウエア・対面オンラインコースなど)
一覧にLPが出てきて、プロ版はジャンルも絞られていて美しいのて魅力的に見えますが、LP自体は手を加えられるので、ここでは自分のジャンルと近いものを選択すればいいかな、と思います。
サムネイルをクリックするとファネルをプレビューできます。
- ステップ1LP(リーティングページ)
- ステップ2チェックアウトページ
- ステップ3サンキューページ
プレビューで実際のページを見てからデータをインポートできます。
ファネルの中には、サンキューページの前にアップセルがあったり、サンキューページにメンバーズサイトへの案内を出すなど、様々な例ができています。
プレビューでも「プロ版」のデータを閲覧することができるので、ファネルカスタマイズの参考にできます。
各項目の右側にあるアイコンにて細かい設定をしていきます。
フォームの内容も個別に指定ができます。
ファネル設定をしたページのURLはファネルのページで管理します。
ファネルページの一般設定でスラッグを設定します。
一般的に固定ページを使ったLPとは扱いが異なるので注意です。
Funnel Builder for WordPress by FunnelKit
「FunnelKit」がリリースしているプラグイン。WooCommerceのチェックアウトページ、サンキューページ、セールスファネルの作成
- あらかじめ構成させたテンプレートを提供
- WooCommerceのチェックアウト、販売ページ、リード、ワンクリックアップセル、サンキューページ
- ファネル数無制限
- プロ版にするとオプトインページからポップアップでフォームを表示、高機能なオーダーバンプ、プレミアムテンプレート、ABテスト
Funnel Builder for WordPress by FunnelKitのインストール
インストールはプラグインページから「Funnel Builder」で検索すると出てきます。
青系のアイコンが目印です。
「今すぐインストール」としてインストールし「有効化」します。
プラグイン一覧での表示は以下の通り。
他のプラグインのように「設定」のリンクがないのですね。へぇー。
有効化するとダッシュボードのメニューに「FunnelKit」というメニューができます。
メニューにマウスポインタを充てると、サブメニューが出ます。
こちらも一部は日本語、一部は英語と混在している感じ
Funnel Builder for WordPress by FunnelKitの管理画面(ダッシュボード)
「Funnel Builder」のダッシュボードはこのような画面です。CartFlowsに似ていますが、オーダーバンプ収益とアップセル収益(いづれもプロ版の機能)が分かれて表示されている点です。
どのくらい本来の収益よりアップしたか、その効果が一目で確認できます。
メニューは上の方に並んでいて、ダッシュボード、ファネル、ストアチェックアウト、アナリティクス、テンプレート、お買い物カゴ、自動化
Funnel Builderでのファネルの作成
Funnel Builderはウィザードでファネルを作れる機能があります。
インストールしてから初めて管理画面に行くなどした際には、ウィザード画面が出るかもしれません。折角なのでウィザードで行ってみます。
ウィザード画面を閉じてしまった人も、ダッシュボードの各所でウィザードへのリンクがあります。
ファネル作成ウィザードの流れ
①まずウィザードへと踏み出すとこのような画面が出ます。
「始めてみよう」のボタンから進みます
②「始めてみよう」のボタンから進みます。
FunnelKitを使うには必須のプラグインがあるのですね。WooCommerceはすでにインストールされている状態でしたが、他のプラグインのインストールを薦められます。必須ということなので入れることにします。必須プラグインは以下の通り。
- WooCommerce
- FunnelKitAutomations/WooCommerceの放棄されたカートの回復機能。購入後のフォローアップメールを送信Pro版あり。
- Stripe Payment Gateway for WooCommerce/FunnelKit上で使うストライプゲートウェイ
- FunnelKitカート/WooCommerceにスライドカートを追加。スライドカートにアップセルを追加してチェックアプトにスキップできる
③メールアドレスを求められました。ワードプレスの管理者になっているメールアドレスが入力された状態でメールアドレスが収集されました。さすがです。メールアドレスはこの画面で変更することもできます。「送信して終了」としました。
④次にチェックアウトの作成に入ります。「チェックアウトの設定」ボタンを押して進んでいきます。
④チェックアウト画面のデザインを選びます。ここでは「Create Store Checkout」を選択しました。こちらで選択したチェックアウト画面が、WooCommerceのカートに追加した後のデフォルト挙動になります。(Import Store Checkoutはすでにデータがある人向けの機能でした)デフォルト設定なので、設定できるのは1パターン。
⑤すると、テンプレートが選択できる画面に行きます。
使用するエディタによっても数が変わるかもしれませんが、無料版6種類、有料版13種類あります。
プレビューでステップを見ることができます。アップセルがあるものもありますが、アップセルを挟めることができるのは有料版のみです。
大体が購入手続きからサンキューページへの2ステップが基本になっています。
プレビュー画面で「Import This Funnel」ボタンを押すとインポートされます。
いろいろ要素が入っているテンプレートも整っていて魅力的なのですが、結局は日本語に変更しなければならない手間もあるので、ここではとてもシンプルなテーマを「Optic」を選択してみました。一部有料機能がファネルに入っていますが、無料版を使っていればインポートしても有料機能の部分はインポートされない仕様です。
⑥チェックアウトに名前を付けます。
有料のアップセルStepはこの時点で追加されないようです。
⑦ステップ画面に戻るとこのようにリスト形式でファネルの流れが閲覧でき、それぞれに細かい設定ができます。
モードを切り替えると、マインドマップのような形で視覚的にファネルの動きを閲覧できます。
⑧ここでウィザードが一旦終了してしまったのですが(再開ややり直しの方法がわからない・・)、ダッシュボードでの「やることリスト」にまだ未設定のものがあるようなので、続けてみます。
⑨「ピクセルトラッキング」に関しては広告との連動なので、一旦飛ばし「ファネルを作成する」の工程に入ります。やることリストの「作成」リンクからか、上部のメニューからファネルを追加
するとこのような画面が出るので「ファネルを作成する」ボタンを押します。
⑩先ほどはチェックアウトのみが出ましたが、今度はLPページも出てきました。チェックアウトがWooCommerce全体のチェックアウトで、セールスファネルは「ある特定の商品のLPを介したセールス+チェックアウト」と言えるでしょう。
まだLPがない場合は、こちらでLP込みのファネルを選ぶといいでしょう。
少しわかりにくいですが、それぞれを使い分けることができ、理解してしまえば、かなり深いセールスファネルが作れるのではないでしょうか。
⑪LP込みのファネルには、ランディングページもファネルの一部に入った状態になります。
何かのキャンペーンやコンテンツ販売などのLPからのファネルはこの形になります。
ランディングページのスラッグでページのURLを決定でき、購入手続きにて決済する商品を紐づけすることができます。
また、有料版の機能にはなりますが、ありがとうページの条件付きルールも設定ができます。
例えば、購入者の購入内容に応じて異なるサンキューページを表示するなりのルールが可能で、こういった細かいカスタマイズはCartFlowsにはないものです。
WooCommerce Checkout & Funnel Builder by CartFlowsとFunnel Builder for WordPress by FunnelKitの比較表
WooCommerce Checkout & Funnel Builder by CartFlows | Funnel Builder for WordPress by FunnelKit | |
有料版 | プレミアム版 $99/年 1サイト~
Pricing - Get CartFlows at Special Price Today! CartFlows is a perfect solution for any WordPress eCommerce website with excellent features and support. Over 100K peopl... |
プロ版は4種類。 $99.5/年 1サイト ~ Get the Complete Sales Funnel Building System - FunnelKit Turn your business into a profit powerhouse with all our 3 tools - AeroCheckout, UpStroke One Click Upsell & OrderBump. ... |
管理画面 ※クリックで拡大 |
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オリジナルブロック(インストール後エレメンターやグーテンブルグなどでブロックが追加されるか) | インストールしたからといって、ブロックが追加されるわけではないが、エレメンター用のテンプレートなどを開くと「次へステップ」ボタンなどオリジナルのブロックが使われている。 | インストールしたからといって、ブロックが追加されるわけではないが、エレメンター用のテンプレートなどを開くとオプトイン用フォームなどオリジナルのブロックが使われている。 |
ボタンのテキスト変更 | LPはエディタ内で、フォームはファネル内で変更可能 | ファネル内のテンプレートを直接直す形で可能 |
日本語化 | 〇 6言語(オランダ語、英語、日本語、ポルトガル語、スペイン語、スウェーデン語に対応) ただし、管理画面などそれほどローカライズはされていない |
〇 3言語(英語、日本語、ロシア語に対応) ただし、管理画面は日本語と英語とまちまち |
ファネルテンプレート | ゼロベース1 無料版は15、プロ版は15 |
ゼロベース1 無料版6種類、有料版13種類 |
LPテンプレート | 無料版6 プロ版15 | 無料版3 有料版9 オプトインテンプレート |
チェックアウトテンプレート | 4 | 無料版3、有料版4 |
オーダーバンプ(ついで買い) | 有料版のみ | 有料版のみ |
A/Bテスト | 有料版のみ(プロプラン以上) | 有料版(プラスプラン以上) |
ワンクリックアップセル・ダウンセル | 有料版のみ | 有料版のみ |
サンキューページ | 無料版14 有料版15 | 無料版8 有料版11 |
メール配信機能 | 推奨プラグイン 「WooCommerce Cart Abandonment Recovery」にてフォローアップメルマガ機能あり |
推奨プラグイン「FunnelKitAutomations」にてフォローメルマガ機能あり |
備考 | グーテンブルグテンプレートを使うにはスペクトラプラグインが必要 直観的に操作ができて、高機能。少し動作がまったりとしているのが気になる。 ABテストやワンクリックアップセルなど本格的なファネルにしたいなら$299/年のプロ版にする必要があるば、ClickFunnel(月1万円程度)など他のツールとの比べて決めるべき。 少し動きが鈍い。ファネルをインポートするときに失敗した例あり。 |
WooCommerceの他に、FunnelkitAutomations、Stripe Payment Gateway for WooCommerce、FunnelKitカートの必須プラグインが必要。 FunnelkitAutomationsプラグインで、メールでのフォローアップができる機能がある。 Leandashとの連動
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有名なのは「WooCommerce Checkout & Funnel Builder by CartFlows」。しかしファネルに特化しているのは、「Funnel Builder for WordPress by FunnelKit」?
ユーザー数が多く、有名ツールと連動しているのはCartFlows
各プラグインの調査をしている現段階でCartFlowsの方のアクティブプラグイン数は20万超え、「FunnelKit」の方が3万とユーザー数が大きく異なります。
CartFlowsはエレメンターやテーマのAstroなど、ワードプレスを使っている人なら一度は聞いたことがあるであろうプラグインやテーマ内で紹介されていたり、連動があります。
日本語翻訳がされていて満足度が高いのはFunnelkit
しかし、レビューの星の数を見ると「FunnelKit」の方が多く、評判が良いのがうかがえます。
画面の日本語化において、いづれも英語まじりの日本語、という感じで、結局は画面翻訳をしながら進めた方が良いですが、「FunnelKit」の方が日本語化は進んでいるよう。
また、一番の違いとしてファネルの流れを俯瞰で見れるCanvasModeの存在は、ファネル作りを楽しくしてくれるとてもユニークな機能と言えるでしょう。
また、「販売の仕組み化」を強化する不随のプラグイン「FunnelkitAutomations」によって、フォローアップのメールやレビュー収集メールなどの送信ツールもある。一部有料バージョンでないと使えないものもあるけれど、ちょっとしたメルマガ機能がついているので使いこなせば、かなりの手間を省けるのではないでしょうか。
また、カート画面などかなり細かい設定ができるのもFunnelKitの方。その分、理解するのが難しい印象もあり、逆に初心者には難しく感じるかもしれません。
テンプレートのデザインが洗練されているのはCartFlowsサクサク動くのはFunnelkit
機能面ではFunnelKitが高機能であるのですが、テンプレートの量やデザイン性で見るとCartFlowsに軍配が。しかし、全体的に動きがまったりしていて、データのインポートに失敗したり、画面が動かなかったりしたのはCartFlowsの方でした。
せっかく使い倒しても、データが消えたりうまく使えなくなるのは怖いので、使っていてストレスがないのはFunnelkitの方が長い目で見て安心かな、とも感じました。
A/Bテストやアップセルなどを使いたい場合は、有料版でも上位ランクのみなので注意
同じ有料版にしたとしても、一部の機能は「もっと上位」にしないと使えないものもあります。
例えばABテストが可能なのは、CartFlowsならば年額$299のプロ版、FunnelKitなら年額169ドルのプラス版。オーダーバンプは年額$189のプラスバージョン、FunnelKitならABテスト同様年額169ドルのプラス版、と、有料版であっても最下位だと対応されていない。
それでも、ClickFunnelが毎月1万円~ほどだと考えると、安価ではあるけれど本当に必要な機能はどれか、を見極めて導入するべきと言えます。
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